国家とは

NHKBSプレミアム関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」は、ご存知のように旅番組である。今はやりの観光旅行番組ではなく、個人的には歴史・文化番組と思っている。そこが私の旅のスタイルと似通っており、番組を視ているとそこに行ってみたくなる誘惑にかられる。

我々はヨーロッパと言うと便宜上国家単位で認識しがちであるが、国家なるものができて数百年でその前の千数百年は国家なるものは無かった。そして、今ではEUと言う単位で物事が動いている。

鉄道を移動手段としながらも地に足をつけながら旅するこの番組は、国家というものを別の視点で見直してみる契機を与えてくれる。私が敢えて辛い歩き旅に拘るのは、点→線→面と視点を変えながらじっくりと世の中を見ることにより、今迄に見えていなかったものが見えてくるからである。

番組は現在イギリスを進行中である。アイルランド島は現在アイルランドとイギリス(北アイルランド)と言う二つの国家から成っている。紀元前のヨーロッパ大陸からのケルト人の渡来に始まり、2000年余の紆余曲折を経て現在の形になっている。番組を通じてその歴史の片鱗が垣間見える。多くの人にとってアイルランド紛争ぐらいしかないであろう。現地に赴き地に足をつけて周りを眺めてみると、もっと面白いものが見えてくるだろう。私を旅に駆り立てる。

幸いにして気力・体力が現状を維持していれば、来年のいつかどこかの歴史の現場を歩いているだろう。

かつて、線(自然の地形や人工的バリアー)で形成していたEU諸国の国境は、今では点(標識)と成っている。将来には遠い昔のようにそれさえ見かけなるだろうか。

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ポルトガル/バレンシア  2013/05/22