回り道

以前ラウンド・アバウトについて書いたことがあるが、最近その仕組みをわかりやすく書いた文章に出会った。少し長くなるが紹介しよう。

 

イギリスでラウンド・アバウト、フランスではロン・ポアンと呼ぶ。

具体的に言えば、交差点が環状道路になっている。車は一時停止の後その環状部分に入り、ぐるっとまわって目指す道に出る。

信号機の十字路と違って、ロン・ポアンでは大事故は起こらない。直進できないのだから正面や真横からの激烈な衝突事故は起こりようがない。一度止まって左を見て、車がいなければゆっくり進入する。常に中にいる車が優先。

もう一つの利点は十字路だけでなく三叉路でも五叉路でも七叉路でも造れることだ。出口ごとに行く先が書いてあるから、目的地の地名が頭に入っていればロン・ポアンを次々に辿って自動的にそこに行き着ける。ロン・ポアンの中で迷ったらもう一周して出口を確認してから出ればいい。Uターンも簡単。

信号のように車が来ないのに待たされるという無駄がない。交通量が多いところのロン・ポアンは大きく造ってあり、たくさんの車を裁けるようになっている(それでも渋滞は起こるが)。

また信号機と違って故障しないし、メインテナンスもいらない。

電気代もかからない。

では欠点は何か?場所を取るのだ。広い敷地が要る。

だから日本に普及しなかったのかどうか。沖縄にはアメリカ軍が持ち込んだロータリーが嘉手納と糸満に一つずつあるけれども、どちらも信号機を設置して事実上ロータリーではなくなっている。         

    「セーヌの岸辺」 池澤夏樹  集英社 2008/9/10

 

しかし、日本でも2013年の道交法改正で「環状の交差点における右回り通行」との定義の元に運用が開始され、本年の5月末現在全国で67箇所で運用されているそうだ。

広い土地が無くとも大丈夫。参考として「ポルトガルの道」途上の小さな集落で私が見かけたラウンド・アバウトを紹介する。

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Spain Pontevedra近郊のラウンド・アバウト?   2013/5/24

ラウンド・アバウトを英和辞典でひくとロータリーの他に形容詞で"回り道の"があった。形状が丸いからではなく、"急がば回れ"から名付けられたのであろうか。