いつも旅のなか

人それぞれであり旅のスタイルも色々である。従って私は他の人が何故旅に出かけ、どんな旅をし、何を見て何を感じているかに大いに興味があり、ドキュメントやエッセイ等旅関連の多くの本が本棚に並んでいる。

今手元には直木賞作家の角田光代さんの「いつも旅のなか」がある。氏は "仕事も名も年齢も、なんにももっていない自分にあいにゆこう。" と思いつくと行き当たりばったりで出かけ、その顛末をエッセイとして文章化している。とにかく面白く興味をそそられるが、私には同じような旅が出来るほど腹が据わっていない。

そしてあとがきに

旅は終わってしまうとするすると手を離れてしまう。そのとき目にしたものは、永遠に消えてしまう。旅で見たもの、出会ったもの、触れたものに、私はもう二度とあうことができない、書くことで、かろうじてもう一度、架空の旅をすることしかできない。いや、書くことで、架空にしろ、二度とできない旅をもう一度することができるのだ。           「いつも旅のなか」角田光代   角川文庫

とある。この文が私の現在の心境を表していると思い、何時ものように相乗りをさせてもらい引用させてもらった。

唐突であるが添付の写真は、フィゲレスからの帰途車窓から目に入ったもう一つの「スペインの赤」である。これも私の旅のスタイルの一片であろうか。

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Figueres〜Barcelona  2015/6/29