スペインの赤

「私はダリの娘」  

政治不信のニュースのオンパレードの中で親父ギャグにもってこいのニュースがピカリと光を放っている。

ホンモノのダリの世界を実感すべくバルセロナ滞在中の半日を割いてフィゲレスに出かけた。約2時間の電車旅の後、駅から旧市街地を抜け、歩くこと約15分で早くも目の前にダリ劇場ミュージアムが現れた。外壁いっぱいを額縁に見立て空を想わせる青い絵画。そこに長い梯子が立て掛けられ、あたかも空へと向かって昇って行けるのではないかと思わせる。

館内に入るとメインホールの吹抜けの天井画と周囲の壁面に展開する作品群に圧倒される。独特の仕掛けを施された様々な作品に心をときめかせながら巡り歩く。円形の回廊には各階で壁面の色を変え、そこに額縁に入った作品が並べられている。その中で赤色の壁に掛かった作品に目が止まった。A5判位の小品で中近東の騎馬兵群を描いた特段目立つものではない。しかしその絵を取り囲むバックの赤が背後の壁面を思わせ、恰も壁に貼り付けた絵に額縁の枠を配したように見えた。赤と言えば以前紹介したスペイン大使館の赤が蘇ってくる。

外に出て背後に回ると赤い外壁の上の屋上にお馴染みの巨大な卵が並んでいる。街の一画がダリワールドである。帰途、余韻を味わいながら2時間の車中を過ごした。 

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「描いたのはダリ」 2015/07/01