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いることの幸せ

何かをすることによって幸福感を得ようとする。しかし、幸福感が得られるのは、それだけではないと思うのです。何かをするのではなく、いるだけで幸せを感じられる場合もあるでしょう。「することの幸せ」でなく、「いることの幸せ」です。            「コブのない駱駝 」 きたやまおさむ  岩波書店

 私のロングトレイルは2012年の四国遍路で始まった。その目的は、よく言われる"自分探し"の旅ではなく、3年にわたるひざ痛のリハビリ結果の検証と頑張った結果の納経帳の朱印収集であった。幸い完歩ができ、高野山を含む89の朱印が集まった。しかし、回数を重ねた遍路から朱印の重ね押しで真っ赤になった納経帳を見せられるにつけ複雑な気分に陥った。

その後何かでサンチャゴ巡礼を知り、色々と情報を集め無謀にもその秋に一人でスペインに旅立った。その目的は ここでも精神的なものではなく、趣味のウオーキングを手段とした自分流の観光旅行であった。最初のうちはユックリと歩きながら見る田舎の風景やマイペースで味わうキリスト教文化に感動しきりであったが、日を重ねるにつけ新鮮さが薄れてきた。その反対に巡礼者や地元の人々との日常的な触れ合いに心地よさを感じるようになった。国籍、言語、宗教、文化等々異にしながらも共に時間を過ごすだけで不十分ながらもコミュニケーションが図れる喜びである。これは「なにかをして」得られたというより、「そこにいる」事により得られるものであると感じた。

昨今の世情を思うたびに身体のどこかで誘惑の虫が蠢きだす。

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フランス人の道  Carrion de los Condes 20120914