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マイルストーン

旅行することの意義は、一人一人の人間が、そういった「他人の目」から全く自由な立場で、離れた土地の現場に直接ふれ、自らの五感で、そこからおのがじしの「一次情報」を採取する点にある。また現地の人びとと直接交流することにある。頭でわかることと、躰でわかることとは、全く別物である。自在に旅することの有難さ(あるいは旅することの有難さ)は、じつにこの点に関わっている。

本棚に永年眠っていた「比較旅行学」(林周二/中公新書/1989)のまえがきの一文である。

昨年末、大河ドラマで全国区となった九度山から町石道を歩き熊野古道小辺路」に入った。町石道は女人禁制の高野山で修行中の弘法大師が母に逢うべく慈尊院へと通った道である。道筋には今でも身の丈よりも大きな町石という里程標が残されている。

ヨーロッパにもかつてローマ帝国の軍勢が往来した道筋にマイルストーンなる里程標が残されている。しかし多くの人は物理的な里程標というよりも、「画期的な出来事」「スケジュール上での重要な節目」として認識している。

サンチャゴ巡礼の「銀の道」で"もの"としてのマイルストーンに出会った時の感動は、事前情報の確認ではなく、新たな発見のそれであった。その大きさもさることながら、2000年に亘る風雪?に耐えてきたその姿、そしてその表面に確認できる?かつて世界史で出会った人名や事象の数々。

マイルストーンは三次元にとどまらず、四次元の里程標であったのだ。この発見は私の旅の大事な収穫であった。

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