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私の「グラスのきらめき」

 スペインにはどんな小さな町や村にもマヨール広場(大広場?)がある。

ある時マドリード南西郊外のチンチョンを訪れた。円形のマヨール広場を底にしたすり鉢状の村で、10分も歩かないうちに村外れに出てしまう。広場は村人達の生活の中心であり、日常は駐車場として利用されているが、ハレの日には闘牛場となり、広場を取り囲む木造三階建ての家のテラスは観客席と化す。

広場に立ち見上げると多くの観光客が飲食を楽しんでおり、カメラを向けるとあちこちからこちらを写せと騒ぎ立てる。歩き疲れてテラスの椅子に腰掛け名物のアニス酒を注文する。セリ科の薬草の種を強いアルコールに成分抽出した40度〜50度のリキュール酒であるが、若干甘みがあるせいか抵抗なく喉を通過する。

 テーブル上のグラスに眼をやると、テーブルクロスの文様が虹色にきらめき、心地よい酔いに痺れた午後のひと時を夢見心地に誘う。

帰路のバス停にたどり着いた頃には、容赦のない強烈な陽射しが壊れかけた私を正常に戻していた。

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