伊勢河崎商人館
先々週に引き続き伊勢河崎商人館を紹介する。河崎本通りを進んで行くと道の前方の見通しが利かなくなる。何かの理由で道路がクランクいるが、これがアイストップ効果となりコア施設である商人館へ導かれる。江戸時代創業の酒問屋「小川商店」を市が修復整備し、NPO法人が運営管理している国の登録有形文化財である。成立の基盤である瀬田川に面して蔵を構えた代表的な商家である。
蔵は現在店舗として活用されている。蔵にしては多くの柱が林立している。その理由を聞くと酒樽を積み上げた時の荷崩れを防ぐ為とのことである。これがうまい具合にテナントへの貸し出し区割りとなり、複数の小規模テナントに貸していながら一体的で開放感のある空間となっている。
邸宅部分には京都裏千家の「咄咄斎」の写しの茶室と庭を設え、当時の大店の生活の一端が伺える。しかし、室内はあまりにも整然としており当時の生活の匂いが伺えないのが残念である。
二階から表通りを見る
邸宅を裏から見る 右側は内蔵
邸宅の裏にも倉庫が並び、イベントスペースやまちかど博物館として地域の文化活動を支援している。
まちなみ広場
大きく曲がった梁 この発想は何処から
少し離れた蔵は嘗ての川との関係を再現しようと,「川の駅」と称して休日に運行する観光船の船着場となっている。
河岸は綺麗に改修されているが、防災が主目的となるためか嘗ての舟運の風景を思い起こさせる趣は感じられない。やむを得ない事か。
全国的に名を馳せた街並みに比して地味であるが、それはそれなりの良さを私は感じた。