美術鑑賞大国ニッポン

上野の東京都美術館で開催中の「ゴッホゴーギャン」展に出掛けた。毎月第三水曜日は"シルバーデイ"として65歳以上の人に対して都の美術館が無料開放される。スペインでもプラド美術館を初め多くのMUSEOが色々な形でこのようなサービスを実施しており、方々でその恩恵に浴し美術鑑賞をさせてもらった。巡礼路上のカテドラルではクルーデンシャルを提示する事により無料入場ができた。

 多額?の 税金を払ってきたものとしてはこの特典(都民以外も可)を享受すべきと第三水曜日に出掛けた。高齢者にとってはゴッホゴーギャンの二大巨匠と言えば"向日葵"や"タヒチの女"が美術の教科書やカレンダー等で脳裏に色濃く刷り込まれており、おまけに時間の制約が少ないときているから、どっと押しかけるのではないかと思案した。「若冲」の時エライ目にあったので今回は開場時に合わせてと思い、10分前にゲートに到着した。

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ところが何と既に長蛇の列 

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でも何とか30分後には入場できた。当然ながら内部は大混雑で読みの甘さを悔やんだ。鑑賞後、出口には40分待ちの掲示あり、次々と人が押し寄せていた。なお、「若冲」の時は入場に時間がかかり内部は混雑していたが、閉館前30〜40分は人も減りゆったりと鑑賞できた。

因みに、展示作品は二人が影響を受けた作家や影響を与えた作家の作品を交え、両者の関係性をうかがわせる作品が中心で、大半の人が期待していた作品は最後に少しであっただけであった。でも本物を見たことで満足した人が多かったと思う。

 

午後は美術館のはしごで白金の庭園美術館に向かった。映像作品やインスタレーションを発表しているフランスのアーティストのクリスチャン・ボルタンスキーの作品展。匿名の個人/集団の生(存在)と死(消滅)そして記憶をテーマにしているとのことであったが、私には少々難しすぎた。

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 その中で「ささやきの森」は現在開催中の瀬戸内芸術祭の豊島で出品中のインスタレーションの映像を大きなスクリーンに流していた。説明文によると

 

   次第に大きくなる森のざわめきを頼りに小道を歩いて行くとついに出会う、木々の間でさざめく数   百の風鈴、木漏れ日、そしてその光に反射して煌く「誰か」の大切な人の名前。それらが重なり合う情景はずっと穏やかな印象を与えます。

 

床には切り刻まれた干し草が敷き詰められている。視覚/聴覚/嗅覚/触覚に訴えてくる作品で、暫く佇んでいると"デジャ・ビュー"感が沸き起こってくる。いや、これは現実に味わった感覚である。熊野古道の木立の中で休息を取っていた時に同じ感覚を味わったのを思い出した。

 

「巡礼の地」が映像というメディアを介してこの東京都庭園美術館に出現し、新しいエモーションの共振を生み出します。

 

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「ささやきの森」

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 熊野古道「大雲取越」の円座

 

同時に「アール・デコの花弁」として旧朝香宮の室内空間の魅力を紹介していた。限られた展示物しかない室内空間を鑑賞できた。

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大食堂

その中で目に止まったアール・デコ展のポスターは非常に暗示的であった。

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