ガウディを訪ねて17ーカサ・ミラ 20150702
カサ・ミラにも多くの見所があったが、最も印象に残っているのは二つのエントランスに描かれた壁画と天井画である。
賃貸住宅用のアメーバを思わせる鍛鉄製の扉を潜ると弱々しいランプの光に幻想的な世界が浮かび上がる。洞窟にでも迷い込んだか、それとも何者かの体内に飲み込まれたのかと思わせ、色褪せた天井画が100年の刻を実感させる。
ガウディが学生時代に身近に置いて愛読していたゲーテの「自然論」に次のような一節がある。
生命体の曲線は最も合理的で美しく、自然に直線はない。
自然の色彩こそ生命である。
邸内を巡り出口に向かう施主邸宅の主階段に出る。此処にも空間いっぱいに描かれた天井画と壁画に圧倒される。当然ながら賃貸部分のエントランス空間を凌駕する。
天井画は一見するとある種の妖しさを感じさせるが、ディテールに視線をズームさせるとそこには心を和ませる可愛らしい花々が描かれている。
足元に目をやると地下の駐車場に向かうスロープが鍛鉄製のガラリ越しに垣間見える。そこには天井画と対照的な淡い色の破砕タイルがあしらわれている。
パティオのボイド空間の壁面にも何気なく壁画が描かれている。