ガウディを訪ねて13-コロニア・グエル教会20150701

前方のゲイトにむかう。金属板に数カ国語で教会を意味する単語が切り抜かれており、ここにも当然の如く「教会」の文字が並んでいる。正面に廃墟のような佇まいが目に入る。

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グエルの依頼で1898年に ガウディは設計に着手した。しかし、後年グエルの病気と資金不足により計画が頓挫し、1914年にガウディは建設途上で手を引くこととなった。当初のスケッチによると尖塔が空に向かって建ち上がっているが、目の前にはその面影は全く無い。

入口を求めて 右側の半地下に下りるとそこはカタルーニアヴォールトが怪しく交錯する前廊部分である。

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左に目をやると石の枠組みの控えめな入口があり、上部には場に不似合いとも思われる色鮮やかな破砕タイルのメダイヨン

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 一歩聖堂の中に足を踏み入れると石切場にでも迷い込んだと思わせる想像を絶する空間が展開し、暫くの間無言で立ち竦む。

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 切り出したままの玄武岩を無造作に建て込んだと思われる柱は一見危うささえ感じさせ、その緊張感がたまらない。しかし、ガウディ独特の幾何学的アイデアに基づく架構である。

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 複雑なレンガ造の隔壁アーチ群で覆われた天井は、壁を形態上の制約から解放し有機的な空間を可能にしている。

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 その壁には水平方向に子供の絵の様なステンドグラスが並んでいる。これがなんと日時計の役割を果たしているのだそうだ。

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換気のためか一部が開閉可能となっており環境への配慮も感じられる。

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祭壇裏を巡る階段部分では構造材のレンガが装飾的素材としてあしらわれている。

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 一旦外に出て右側の階段を登ると平坦な屋上空間に出る。本来であればここにはスケッチに描かれていた聖堂伽藍が聳え立っていたはずである。その証しとしてか柱位置を示す円とそれを結ぶ線で床の上に未完の教会が描かれている。

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計画中断後、講堂として建設されていた地下部分が聖堂に転用され教会として完成された。そのせいもあり、空間の醸し出すプリミティブな印象がこの小さな教会をサグラダ・ファミリア教会と並ぶガウディの代表作と評される一因となっていると思う。

 

コロニア・グエル教会訪問において何よりも私にとって喜ばしかったことは、1時間以上に渡りこの空間と時間を独り占めにできたことであった。