獣害?

テレビで動物による農作物への被害対策につきレポートしていた。被害額は全国で年間200億円に及ぶとの事。特に猿はどんな物理的対策も効果がなく、最近はIT化対策まで考えられている。南アルプス市では群れの中の一匹を捕まえGPSを取り付けて放し、群れが近づくのを察知すると花火や叫び声で追い払うと言う。一定の効果はあるが電池の持続時間の関係で、絶えず対応できない悩みがあるそうだ。

動物による農作物の被害は、人が動物の生活圏に入り込んだため食料が不足しだし、動物達が食料を求めて人間の生活圏に出没しだしたためと言われているが、最近は高齢化により農山村の荒廃が進み山と集落の境界が曖昧となり、良質の食料が得やすい集落に出かけてくると言われている。

 熊野古道は動物の生活圏を出入りしながら歩くためこうした現場によく出くわした。丸山千枚田でもネットやワイヤーで鹿の農地への侵入を防いでおり、なんとか対策となっているが田植えをしていた人に聞くとこれでも完全に被害は防げないと悩みを打ち明けた。

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昔は猪による農地荒らしに悩んでいたらしく、石垣を延々と築いて侵入を防いでいた。今でもその遺構として「猪垣」があちこちに見かけられる。

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"クマ出没  注意! "の貼り紙を見かけた。日付が昨年だったせいもありこんな所にもでてくるのだ程度で、あまり緊張感は沸かなかった。

又々テレビだが、"にっぽんトレッキング100"で知床半島の歩きを紹介していた。場所柄ヒグマが見かけられ、そんなところを時に笛を吹いて歩いて行く。ここはクマの領域であり我々はそこを通らせてもらっているのだから「すみませんがしばし道を譲ってもらえませんか」と笛で知らせているのだといったようなことを言っていた。クマが出るのではなく人が出るといった方が当たっている。

 スペインの巡礼路ではたまたま鹿や兎が道路を横切る程度で猿は見かけない。 だから猿に会いに日本にやってくる。日本の様に豊富な緑や水がなく、野生の動物にとって住みやすいところではないようだ。しかも集落の周辺にも農地は見かけられず、人と動物のせめぎ合いは無いようだ。

牧畜は盛んで柵を張り巡らし各種の家畜を自然の中で育てている。イベリコ豚然りである。巡礼路はその中を突っ切っており鉄製の扉を開け閉めしながら、シャトルグリッド(大型のグレーチング)を渡り歩きながら進む。ある時低いワイヤーの柵をまたいだ時股の部分に電気が走った。

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かつては羊毛の供給地として多くの羊が飼われており、牧草を求めて国内を羊の大群が移動していた。羊の通った農地は荒れ果て、街中は糞で溢れかえっていた。しかし、牧畜は国を支える産業であった為誰も文句が言えなかった。

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田舎を歩くと保安の為どこの家も複数の大型犬を飼っており、側を通ると通り過ぎるまで大声で吠えかかる。時には放し飼いの大きな犬が道路の真ん中でこちらを睨んでいる。ウオーキング中に噛み付かれた事があり犬は苦手であるが、恐る恐る道路の端に避けながらすり抜ける。以前紹介したイタリア人は犬が大の苦手で、放し飼いの犬に出会うと全く動けなくなる。本人には申し訳ないが大の男が犬に怯える姿を眺めると胸がすく思いがする。