石畳の峠越えにしばしの別れ



5月17日(火) 賀田6:10〜熊野市15:40 
            21.5km 雨後晴

昨日の出会いは民宿「まさはる」の親父。これが話好きというかお喋り。食事中目の前で海釣りの講義。釣り人は魚の種類を決め、それ一筋に大きさを競う。他人はもとより自分の過去の記録を1ミリでも伸ばそうと入れ込んでいる。グレが人気。ここの魚は雨による大量の栄養分の海への流入で、ジェスチャーによると他所の二倍くらいでかい。部屋には所狭しと70cm前後の自慢の魚拓のオンパレード。
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「木の国」ではご存知の様に雨が檜や杉の大木を育てる。反面雨の日が多く仕事にならず、昔から生活は苦しかったと言う。

同宿舎はこの2〜3日前後して歩いている通しの一人歩きで、今回は本宮大社から小辺路へ抜け高野山に向かいという。水戸の65歳建設業OBでリタイア後日本はもとより海外も旅している。何処かで聞いた様な男である。酒を飲みながら話が弾む。

朝になり雨も小降りになり昨日やり残した「甫母峠」305mへ向かう。手前の「曽根太郎坂・次郎坂」の名前が面白い。646年から1582年までここが志摩の国と紀伊国の境で「自領」「他領」に由来する。その後紀伊徳川家のご威光により境界は伊勢の方まで北上し、現在の県境は新宮市熊野川まで南下している。スペインでも実感したが、歴史の流れの中に身を置いている興奮を覚える。昨日もそうだったが雨具をつけていても湿度が高い為汗でびしょ濡れで全く雨具の効果はないどころか蒸し暑さが体力を奪う。
峠道に入ると川が増水し、水に浸かりながら渡る。道も川となっている。後で聴いたが昨夜は久しぶりの豪雨。疲れで熟睡し気が付かなかった。
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道には檜が自由に根を張り、逞しい生命力を感じさせる。
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この峠でも四度転倒し様にならない。

「二木島峠」240m、「逢神坂峠」290mを越え、「大吹峠」200mに進む。「伊勢路」で最も古い鎌倉時代の大きな石の石畳を目にする。
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そして最後の峠「松本峠」135mを終え「伊勢路」13の峠をクリアした。取り敢えずこのルートの最大課題である峠越えを無事終えて一安心。この「松本峠」は急な直登。その角度αは

 sinα=高さ135m/歩行距離450m

どなたか計算お願い。

雨上がりの路上で直径約3cmの大きなカタツムリを見つけた。
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今日の宿は目の前に太平洋が横たわるユースホステル