夏も近づく

5月12日(木) 栃原8:00〜滝原16:20
       19.0km 快晴

夕暮れになると突然気温が下がり思わず身震いをする。スペインでも日が落ちると突然寒さが襲い来てダウンを着込んだ。昼間の暑さがまったく嘘のようだったのを思い出す。
最近の生活習慣から朝4時頃になると目が覚める。寒い。心配した電車の通過も気にならなかった。5時過ぎたが一番電車はまだ。そこで時間つぶしに野面積みを始める。

宿の主人の話。
親の代までは熊野参詣の客で随分賑わったそうである。でも客は減り続け、今では思い出したように私のように客が現れる。そう言えば宿帳を見た時前の客は3日であった。かつて4軒あった宿もここだけ。工事関係の長期滞在で何とかやっって行けているとの事。
宿の向かいの二軒の建物が気になるので聞いてみた。一軒は鉄道ができた時に引き屋で移築された蔵。活用を考えたが構造的に心配らしい。この宿も同様移転を迫られ江戸時代の建物を壊してしまったとのこと。残念!もう一軒は大正モダン?。建築主は医者だったに納得!ここも空家だが近くイベント場として使うとか。一安心。
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右隣は長い黒塀に囲まれた江戸期の豪邸だがここも空家。無念!
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この辺りには茶畑とお茶屋が目につく。この地方は伊勢茶という茶の産地。でもペット茶と後継者不足で経営が難しくなっているそうだ。

中山間地の限界集落化の一端を垣間見た。

6時。踏切のカンカンという音が聞こえ、まもなく一番電車が大音響で走り過ぎた。

振り向くと昨日までと一転、青空が広がっている。主人がしめ縄の資料を持ってきた。いわれはともかく無病息災を祈願するものらしい。今日は三人連れの客が入ったと笑顔。
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宿の主人オススメの「馬鹿曲がり」に向かう。旧道は谷に降りていた難所で大廻りを余儀なくされこの様に呼ばれていた。現在は鉄道と同時に出来た自動車道を直進する。入口が分かりにくいのでと再三注意されたが案の定行き過ぎる。歩いていると時に突然頭が空白状態になる。馬鹿になってと谷に向かって下る。
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神瀬橋、通称「めがね橋」で明治40年に造られたレンガ造のアーチ橋。押し寄せる道路工事で今はアーチは一つ。誰一人いない水辺に降りるとフッとローマ橋が目に浮かぶ。
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コース二番目の峠は「三瀬坂峠」328m。荒れているせいもありこんな所を参詣者が歩いたのかと思うほど急で足場の悪い山道。途中で岩の上でしばらく横になる。鳥の鳴き声、水音。そして目を開ければ青空と杉の緑。
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宿も近くの「伊勢神宮」別社で元神宮と言われる「瀧原宮」に寄る。アプローチが延々と続きやっと辿り着く。二棟の天地神明造りもいいが、沿道の杉の大樹が神秘性を醸しだす。
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途中の酒屋でビールを引っ掛け宿に辿り着く。暑さとの戦いの一日であった。