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春一番が吹き抜けた街をぶらり

東京都庭園美術館」へ出かけた。アール・デコ様式の旧朝香宮邸という本物の器であり、その器に相応しい企画で私のお気に入りの美術館である。
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展示会カレンダー
今回の企画は「ガレの庭」で、北澤美術館とオルセー美術館のコレクションを主体に展示されていた。浮世絵等日本の美術品展示の場合、多くの主要展示品が海外からの里帰りで何となく無念の思いがあったが、今回は海外の作品が北澤美術館の頑張りで大半が日本に所蔵されているのに、少しばかり溜飲が下がる思いがした。浮世絵の肉筆画のような一品物でないかもしれないが、ガレ本人が関与した時代ものの作品である。
作品には日本の影響が色濃く、素人の私にもはっきりと見て取れる。モチーフの植物や動物そして色彩感覚は日本そのもであり、平静な気持ちで楽しむことができた。展示室の環境も大きな要因と思う。

目黒駅からバスで中目黒に移動し田園都市線の池尻大橋駅に向けて歩く。ここには中央環状線首都高速3号線を結ぶジャンクションがある。巨大な構造物がドンと腰を据えており、なんとか既存の市街地に馴染まそうとリング状のランプの屋上を植栽し都市公園法に基づく立体都市公園とし、「目黒天空公園」と呼んでいる。
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目黒天空公園案内図
エレベーターで9階に上ると図書館があり、右側の扉から外に出られる。350メートル先の管理事務所まで木々の間を下って行く。完成後2年と日が浅くまだ緑の中を散策する雰囲気は出来上がってないせいもあり、一度は来てみるがわざわざ何度も出かけてくる気にはならない。それに風が強い。確かに高所であるから眺めは良いが、昨今高所からの展望所はあちこちにある。マチュピチュではないがさらに高所からこの天空公園全体と地上を俯瞰できる展望台を作れば他では見られない景観が楽しめ、集客力?が出るのではないかと思った。その事を管理事務所の人に話すと、隣接の高層マンションの人と友達になればと軽くいなされた。しかしメガストラクチャーの眺めは一見ものである。
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ジャンクションのランプ

さらに駒場を目指して足を延ばす。歩行を楽しめるルートには四角いプレートが埋め込まれている。
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目黒区駒場みどりの散歩道

目的地は「日本民藝館」。思想家の柳宗悦の企画でできたもので、「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠として開設されたとある。
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入口脇の石仏(館内は禁撮影)

「知識は色眼鏡に相当するから、「知」を入れるととかく間接的見方や自分自身の独断に陥って、直感にならぬ。直感とは、直ちに観ることである。何物をもその中に介入させずじかに見る事である。だからこれを純粋に見ると言ってもよい。」  柳宗悦「仏教美学の悲願」

品物の説明書きを意識的に少なくし、大半はガラスケースに入れずに展示している。展示の分類は理屈ではなく感覚的な分類と感じる。別に違和感はなく、むしろ自分なりの新しい発見があり少なからず興奮を覚える。海外の品物もあるが地域による差異よりも共通点の方が興味深いし、時代による進化?よりも古い時代のモダンさに驚かされる。
向かいの西館は柳宗悦の旧住居で、月4回公開されており、幸いにも公開日。本人の設計のため彼のセンスがあちこちに見て取れる。
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窓の桟に見惚れる

裏側の駒場公園内には重要文化財の旧前田侯爵邸がある。昭和4年建設のイギリスのチューダー様式で、アール・デコ様式の旧朝香宮邸の庭園美術館に比べ内装は至って質素。管理が目黒区の為か管理は不十分でうまく活用されていないようであり、もっとうまく活用出来ないものかと感じた。
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二階へのメイン階段
中庭に目を移すと邸宅には不似合いな巨大煙突が目に入った。広大な室内空間の暖房の為か?
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不似合いな煙突

隣り合わせで「日本文学館」があるが、当日は残念ながら休館日。脇の小道から公園を後にする。
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前田侯爵邸和館前の小道

まだ明るいので渋谷駅までぶらつく。最近は時間に追われないので時には路線バスに乗る。スピード感と目線が街を感じるのにちょうど良い。そこで渋谷から新宿までバスに乗り、代々木公園を裏側から眺める。今日のぶらりの歩数は約18,000歩。