ガウディを訪ねて①ーボディーネス館
サンチアゴ巡礼を始めようとガイドブックを見ていると、「フランス人の道」の途中にガウディの作品が二つあるとの事。ガウディの作品はバルセロナと思い込んでいただけに思わず笑みが浮かんだ。結果として今日までの巡礼とそのご褒美としてのバス旅行で、グエル酒蔵(ガラッフ)とマリョルカ大聖堂を除くガウディの主要な作品に出会うことができた。大満足である。そこで改めて出会いの記録を残すことにした。ガウディの作品は多くの出版物や映像で紹介されているので、主として自分自身の目で見た事や感じた事等を述べる事とする。
「フランス人の道」(2012)を約480km進んだレオンにあるのがボディーネス館。現在は金融機関が入っているが、カタルーニア出身の二人が起こした会社の社屋として設計したガウディ唯一?のオフィスビル(1891年/39才)。街並みの調和を考えたネオゴシック様式。ガウディは地元の資材を使う事が多く、外壁は灰色の花崗岩。ガウディにしては大人しめの外観である。しかし近づいてみると開口部にガウディらしさが垣間見える。
ボディーネス館正面
玄関の上部にはクライアントの出身地の守護聖人の聖人サン・ジョルジュ(マタマラ作)。テーマは鰐退治と興味深いが残念ながら歴史的バックグラウンドは分からない。
その下には植物をモチーフとした装飾があり、会社名らしきプレート。会社のロゴか近くのアルタミラの石窟画の牛が描かれている。
モチーフとして動植物がよく使われる
裏に回ると通用口か小さな出入り口があり、流石に石と木材がしっくりと収まっている。
窓枠はモチーフは統一しながらも、変化を持たせており何となくイスラムを感じさせる。
建物周囲の鉄製の柵も植物?でデザインされておりセキュリティを果たしながらも拒絶感は感じさせない。
営業時間が過ぎて入口は施錠されており中には入れない。現在の感覚から言えば機能性と効率性が要求される事務所の内部がどのようにデザインされているのか見てみたかったが。残念至極。止むなく玄関のガラス越しに奥のステンドグラスを撮影。ここにも魚と植物があしらわれている。柔らかな色彩が中で働く人の心を和ませてくれそうである。
建物の前の広場にはお決まりのガウディがベンチに座り何かをスケッチしている。横にはグラナダに留学中の二人連れの日本人女性。出発以来四人目と五人目の日本人。申し訳ないが個人情報なんとかでトリミング。