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一期一会 銀の道

 イタリア人と波長が合うのか,銀の道でも一人のイタリア人とコースの半分近くの行を共にした。すでに何度か紹介したRinaldo Assoniである。彼は殆ど英語が出来ないが不思議とコミュニケーションが取れた。話しが通じない時私はすぐに諦めてしまうが、彼はスマホの翻訳アプリを使いとことん話し込んでくる。初めの頃は歩きの途中や宿で出会った時に声をかけあう程度であったが、いつの間にかべったりの間柄となった。彼はタフであり、ストライドが大きい上さらに荷物が軽いこともあり(私は12kg/彼は8kg)歩行ペースは早い。でもあえて私のペースに合わせてくれるし、私が遅れた時には先の方で待っていてくれる。長距離を歩く時に自分のペースが守れないと結構辛いものである。ある時暑さでへばり道端で倒れこんだ時、先に行ってくれと言ってもじっと回復を待ってくれた。荷物の重さの相違に疑問を持ち、ある時ザックの中身を見せてもらったがシュラフがないくらいで後は大きな違いはない。私を初めとした日本人は何かあったらと考えて装備を揃えるが、欧州各国やスペイン語圏の人は必要が生じたらその場で現地調達すれば良いと考えて装備は必要最小限しか持ち込まない。
宿に着くと洗濯とシャワーを済ましシエスタ。ところが彼は少し休むと外に出かける。そして私が目をさますと目の前にパン、チーズ、ハム、果物そしてビールを広げ、さあ昼食。別に頼んでいるわけではない。昼食が終わるとさあ出かけようと誘う。あちこち歩き回って気に入ったところを案内してくれる。私の何が気に入ったのかとことん面倒を見てくれる。最初のうちは有難く受け容れていたが、申し訳ないがこれが続くと少々荷が重くなる。でも別れてから一人で歩いていると、それまでに感じたことのない寂しさがこみ上げてきた。
前に話したが彼の行動はほぼ100%スマホに頼っており、雨に濡れてスマホが使えなくなった時の落胆ぶりは異常であった。下の写真はその落胆ぶりで、敬虔なお祈りをしているわけではない。             
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出会った巡礼者にはフランス人が多い。イタリア人と異なりあまりフランクではないが、結構コミュニケーションが取れた。写真の男は風貌とその言動から「ガンジーさん」と呼んだ。別に行動をともにする訳ではないがペースが合うのか出会いが多かった。その時はお互いあまり話さず二人で静かにビールを飲むことが多かった。
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ある宿のホスピタレイロ(世話人)の家族?はいかにも素朴な田舎者。泊まった日が丁度祭礼の日で、牧師さんを中心にロバのダシを引いて村じゅうを練り歩く。誇らしげに歩く姿は敬虔なキリスト教信者を感じさせた。
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巡礼最後の宿で出会ったのはアメリカから来た72歳 の女性。セビリャから一人で歩いてきて明日、目的地サンチアゴに55日目の到着である。私が37日目に当たるので本当にマイペースで歩ききったと言えよう。疲れや悲壮感を全く感じさせず、街中のホテルのロビーで休んでいる感じでソファーに座ってにこやかにビールを飲んでいる。
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四回の巡礼中多くの人と出会い、その中の何人かは今でも何かに付け思い出される。皆さんに共通しているのは顔の表情がいいことである。でももう二度と出会うことは無いであろう。