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一期一会 北の道

2014年にはスペイン北部の海沿いの巡礼路"北の道"に出かけた。前年念願のポルトガルも満喫したし、体力より気力に陰りを感じ、サンティアゴ巡礼は打ち止めと思っていたが。気候風土が所謂スペインと異なり面白いと聞いていたし、Bilbaoのグッゲンハイム美術館に関心を持っていたのでついに決心。

高級リゾート地Santanderの手前の巡礼路から外れた所にいい宿があると聞いたので、寄ることにした。Guemesという人口300人の小集落にある。サインがほとんどなく道を訪ねながら2時過ぎに辿り着いた。"Albergue La Cabana del Abuelo Peuto"(祖父ペウトの小屋)とある。
入り口に立つや否や冷たい水の入ったグラスが差し出された。屋内に踏み入るとそこでは数人の人が食事中。お前も一緒に食べろという。もう済ましたと言っても聞き入れず椅子に座らせる。スープ、サラダ、パンにワインそしてデザートのケーキ。彼らは巡礼者をもてなすために世界各国から馳せ参じたボランティアとの事。
夕食前7時半からビブリオテカでミーティング。この宿の運営者である創設者の孫がスペイン語で話すが、参加者が英訳してくれるので大筋の内容は理解出来た。カミーノの説明、アルベルゲの歴史そしてこれから続くルートの案内。その中で現在に至る彼自身の歴史を語った。祖父は1946年にこの地にアルベルゲを建設し12人の子供をもうけた。その後なんらかの事情でカタルニアに移住したが、父が再びこの地に帰ってきて5人の子供をもうけ、その一人息子が自分だとの事。大学を出た後ヨーロッパ、アフリカそして南北アメリカを数十ヶ月にわたり車で巡り、帰国後に親の後を継ぎ今の施設を創り上げた。ビブリオテカには彼の歴史を物語る膨大な資料が納められており、別棟には静かに時を過ごせる瞑想室まで設けている。
ミーティングが終わったのは9時過ぎで、それから夕食が始まる。肉、マカロニ、スープ、パンそしてワインにフルーツ。準備も後かたずけもみんなでやる。終わったのは10時半頃だがまだ外は薄明るい。朝食もしっかりしたものが提供された。
ちなみに宿代も食事代もfreeでお遍路で言う善根宿。受付の机の片隅にひっそりとdonativo(寄付)の箱が置かれている。どのように維持運営しているのか。推測するに信仰心の厚いキリスト教徒の浄財や世界中から彼の元に馳せ参じている人々によって支えられているものと思われる。感謝
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Obiedoを過ぎてから数日間行を共にしたのは昨年同様イタリア人の二人連れ。シチリア島に住むリタイアー組のエミリオとフィリッポ。エミリオは真面目で英語ができたので色々と話ながら歩くことができた。西洋人は家族想いが多いのかよく家族の写真を見せられたが、彼は特に娘の結婚写真等スマホに収めた家族写真をたっぷりと披露してくれた。フィリッポはひょうきん者で特に万国共通の下ネタが好き。昨年同様二人は良いコンビである。これでないと苦労の多い長旅は続かない。
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エミリオ
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フィリッポ

ガリシア州チェコから来た犬連れの男に出会った。大きなザックを背負い相当の長旅をしているような風体である。話を聞くと金融機関で働いていたが、3年前に思い立ちヨーロッパの放浪の旅に出たと言う。思いのままに歩き、いつまで続けるかも決めていないと言う。相棒の犬は最近出会ったとの事。体力的にも経済的にも厳しいものと思うが、自由を享受しながら生き生きと放浪している姿に感服。
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ある宿で私のベッドの上段にやってきたのはブラジルの日系三世女性の林さん。残念ながら日本語は出来ない。一人ででかけてきたが、その時は南米の男性のグループに合流していると言う。歩きはバラバラだが寝食はともにしており、食材の買い出しや調理は当番制。体力的に劣る為宿には遅れて到着するが、甘えることなく自分の役割はちゃんと果たしている。一見すれた感じがしたが話してみるとちゃんと女性らしさを備えていた。頑張れ大和撫子
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