一期一会 フランス人の道ー2

巡礼の出発地から400kmのほぼ中央地点に2,400人の集落Carrion de los Condes。ここに12世紀建立の Santa Maria教会があり、公営の宿舎アルベルゲが隣接している。そこのオスピタレーロ(世話人)は二人の修道女で、一人はペルーからやってきている。夜になるとエントランスホールでミニライブが始まり、ギターの伴奏で美しい歌声を聞かせてくれる。それが集まった人の合唱になり、さらにお国自慢の歌の交換になる。同宿の日本人のご夫婦と共に"さくら"を歌う。修道女の方と身近に接する事のない私にとっては貴重な時間を過ごすことができた。

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 LeonのCasa de Botinesと共にガウディの作品である司教館のあるAstorgaに向かう高台に、一人の男が屋台を構え巡礼者に食べ物や飲み物を振舞っている。近ずいて見ると首に"かまえ"の刺青。空手でもやっているのか。忙しく立ち働いているのでこの"おもてなし"の動機等詳しく尋ねることができなかったが、多分深い宗教的動機がないとできない行為である。この巡礼路は多くの巡礼者が通過するので、経済的な裏付けがどうなっているのか気になる。その後も何度か"おもてなし"を経験した。お遍路の時にも多くのおもてなしを受けたが、決して日本の専売特許ではないと実感した。

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巡礼路最高地点のイラゴ峠(1,505m)の手前の集落Foncebadon。一時廃村になっていたが、巡礼路の中継地点としての必要性から現在は数件の宿が営業している。その中に一人でオスピタレイロとして取り仕切っているアルベルゲがある。アメリカからやって来た宣教師で、巡礼者のお世話をしながら麓の集落で宗教活動をしているとの事。その時は足の捻挫で松葉杖にすがりながらの作業。それでも食料や日用品の調達には車で出かける。この辺りの情報は出回っているのか、宿泊する巡礼者が同行したり、夕・朝食の準備を黙々と手伝う。ところが巡礼者からは宿代も食事代も受け取らない。寄付金を入れる箱があるが一切要求はしない。巡礼者の寄付なんて多寡が知れているから、宣教師本人がキリスト教の団体や麓の信者あたりから浄財を集めているのだろう。時々目をやるがほとんど無口で、巡礼者が楽しそうに寛いでいるのを静かに見守っている。聖人を彷彿とさせる佇まいである。

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巡礼後のバス旅行はアンダルシア地方。最後の訪問地Granadaで旧市街の外れの教会La Cartujaを訪れ地図を頼りに歩きながらの帰途に着いた。お土産に陶器を手に入れるべく途中で目に付いた陶器店に入った。店主と話していると、自分も土をいじっているが妹は結構有名な作家との事。名前はMARIA JOSE MORALESさん。作品を見せてもらったが、デザインや色彩がスペインの自然が表現されておりすっかり気に入り、財布と相談の上数点を手に入れた。ご主人がスペインの陶器について色々説明してくれて買い物以外にも楽しい時を過ごした。ガイドブックにも出ていない店であったが見つけものであった。

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