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俵屋宗達

前回は神楽坂の象について書いたが、何故わざわざ現地を訪れたか何となく気になっていた。以前どこかでこんなものを見かけた事があるような気がする。一種のデジャブー感である。
そんな時、又もテレビのBSプレミアム日本画家俵屋宋達の番組を見ていた時の事。暫く見ていて目の前に現れたのは京都の養源院の杉戸に描かれた「白象図」。
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養源院の「白象図」
重文に指定されているだけに、はみ出さんばかりに戸全面に描かれた二頭の象には圧倒される。その瞬間"これだ"と思った。重文に指定された絵と児童遊園の遊具を同レベルに取り扱うのは畏れ多いが、あくまでも私個人の思い込みである。モチーフが象であるのは一致しているが、その他に何かあるのか。
番組の中で俵屋宗達尾形光琳の「風神雷神図」を比較してコメントしていた。
「宗達のものは光琳のものに比して画面いっぱいに描かれ、一部画面の外にはみ出しており、光景の拡がりを感じさせる。」
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これこそその何かだと気がついた。狭い敷地いっぱいの滑り台。そして象の胴体部分は地面の下。これこそ私に"象の滑り台"を超えた想像を膨らませたものである。
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赤城児童遊園の象

ついでにもう一つ神楽坂での出会いの話。
カメラをぶら下げて路地をうろついていた時、真っ赤なジャンパーを羽織った中年の男が近づいてきて私に声をかけてきた。
「写真を撮るならこっち」
ついて行ったがガイドブックにあるありふれた風景。
「"つばめ返し"知ってる。」
「知りません。何ですか?」
「知らないの。座敷で札ビラをばら撒いて、芸者が着物の裾を翻してそれを掴もうとするのを眺める遊びだよ。やってみたくない。」
「お座敷代、結構かかるんでしょう。」
「三万円。ところでこれいいだろう。五万円だよ。」
とジャンパーを引き上げ、あまり趣味の良くないでっかいバックルをこれ見よがしに見せる。
「俺若いだろう」
と、意味深な一言を残して路地の奥に消えていった。
結構粋がっているが、この街でどの程度の遊びをしているのか、午後の一時の出会いであった。