Le Puy-en-Velay

2012年初春、私は四国八十八ケ所の巡礼路を歩いていた。それまでの三年間左膝の故障でリハビリの日々を過ごしていた。7割方の回復を果たしその実感を得る為、兼ねてから我がウオーキングの最終目標としていた八十八ケ所に挑戦した。行けるところまで行ければ…

歩くことは捨てること

サンチャゴ巡礼の話をすると「(辛い目をして)何故歩くの」と動機を聞かれる。私は一瞬戸惑いながら「歩くことが好きだから」と答える。 巡礼とは神の恵みを得る為に聖地へ旅することであり、キリスト教徒にとっては義務ではなく、熟慮に基づく自発的行為であ…

ラストウオーク

6月9日,OstabatからSaint-Jean-Pied-de-Portまでの22km弱のラストウオークである。到着後はそのままTGVでパリに入る。13時10分の電車を逃すと次の便ではパリ到着が23時を過ぎる。歩行に要する時間はガイドブックによると6時間40分であり、安全を見て6時前に…

逆歩おじさん

5月28日、Moissacに向けて歩いていると前方から怪しげなおじさんが歩いてくる。ここ数日毎日の様に出会い声を掛け合う関係になっている。しかし、ある時は1人で逆方向から現れ、ある時は女性と共に私の前後を同じ方向に歩いている。 不思議に思い、ある時そ…

カテドラル そして

これ、何かわかりますか ところで、フランスの巡礼では多くの"教会"に出会ったが、キリスト教の信者でない私にも所謂"教会"には大聖堂から礼拝堂まである事が実感できた。そこで、改めてカテドラル/大聖堂とは何者かを確認した。 カトリックでは行政的区分を…

猫はmiauミューと鳴く

日本には猫に因んだ観光資源?が数多く見受けられる。ネコの島(石巻田代島),ネコのまち(尾道/谷中),ネコ神社(浅草今戸神社)そしてネコカフェ。フランス巡礼路にもネコにまつわる村があった。 5月30日、23番目の宿はLa Romieuラ・ロミュー。1062年にローマ巡…

ヴァラントレ橋の悪魔

5月25日,巡礼路17番目の宿泊地は赤ワイン「vin noir」で知られたCahorsカオール。フランス最大のドームを持つ世界遺産サン・テティエンヌ大聖堂がある。 しかし、へそ曲がりの私の興味を引いたのは外壁軒先?の人面群であった。恰も百羅漢像のごとく様々な表…

予期せぬ出来事-5

テレビは連日暑い暑いの連呼。 巡礼路では木陰の無い炎天下を歩く為気温(体感温度)や降雨が気になる。その為今回を含め気温が余り高くなく、降雨量の比較的少ないバカンスに入る前の5〜6月を選んで歩いてきた。それでもスペインでは北部以外では降雨は稀有で…

予期せぬ出来事-4

5月14日一面白一色の荒野を只一人黙々と歩を進めていた。 前々日、フランス人女性2人と共に宿泊地Aumont-Aubracに向け歩いていた時、1人が突然「明日は雪だ」と言った。 空はどんよりとしているものの既に5月に入っておりその時は冗談だと聞き流した。フラン…

予期せぬ出来事-3

長旅をしているとついつい曜日感覚が無くなる。キリスト教圏のフランスでは生活に密着しているBoulangerieパン屋やPharmacia薬局を除いて店舗や飲食店はお休みである。しかし理解に苦しむのはOffice de tourisme観光案内所まで閉まっており慌てることがある…

予期せぬ出来事-2

今回の旅のKEY WORDは時代的には中世(ロマネスク/ゴシック),近世(アール・ヌーヴォー/アール・デコ/パサージュ)であった。そして是非出会いたいと思ったモノをピックアップしていた。しかし予期せぬ出来事?によりその思いが叶わなかったものがある。 「パリ…

予期せぬ出来事-1

帰国から二週間経ち再び日本の泥濘の道を歩き始めた。今回の巡礼行ではこれまでに比し多くの予期せぬ出来事に出会った。旅にはハプニングは付き物だが自前の一人旅では全て自己責任で解決しなければならない。 家を出る数時間前にHISから電話。「気を付けて…

第四十便 6月13日(水) 晴

久しぶりの晴天。 シャルトル大聖堂の顔はランスやアミアンに比して正面はいたって質素。しかし足元の巡礼路のサインにはチョット感動。 今日はストの影響で見所は大聖堂だけであるが、昨日とは逆に滞在時間は4時間。しかしステンドグラスで覆われた堂内に入…

第三十九便 6月12日(火) 晴一時雨

毎日の様にしとしとと降る雨。梅雨の日本を逃れているはずなのに。 地下鉄1号線が動いていない。駅では放送が流されているが分かるわけがない。今日は北駅からアミアンに向かう予定。とっさの判断で雨の中を隣の5号線乗換駅バスチーユ迄歩く。 北駅も古く大…

第三十八便 6月11日(月) 晴一時雨

エアフランスのストでカットしていたVezelayを諦めきれず、Rouen行きを取り止め出かける。宿からGare de Bercyまで雨の中をセーヌ川右岸を歩く。 途中ミッテラン時代のグランドプロジェクト財務省の下をくぐり、遠くに新国立図書館を眺める。そして新たな倉…

第三十七便 6月10日(日) 晴一時雨

布施英利の「ステンドグラスを見たければシャルトルに行け。ゴシック建築の「建築」を見たければアミアンに行け。そして、外壁に設置された彫刻の躍動する生命みたいなものに触れたければランスに行け。」(パリの美術館で美を学ぶ)の言葉に踊らされ、先ずは…

第三十六便 6月9 日(土) 曇一時雨

Ostabat Izura - St Jean Pied de Port 21km 昨日の疑問とけました。バスク地方の風習で家の名前だそうです。 宿の主人もバスク人のベレー帽をかぶっています。やはり様になっています。 今日中にパリまで行くので、サンドイッチを作ってもらいまだ薄暗い6時…

第四十一便 6月14日(木)/15 日(金)晴一時小雨

インターネット接続不良が続き、ここ一週間ばかり便り不通。今、仁川空港に辿り着いたので取り敢えず最新の便り。 念願のマルモッタンミュージアムは10時開館。8時前に宿を出てメトロでPorto Douphine に向かう。今や1〜2ヶ所になった屋根つきのアールデコの…

第三十五便 6月8日(金) 晴

Aroue -Ostabat Izura 23km 昨日は久しぶりに時間に余裕があり、宿の前のデッキチェアーで日向ぼっこ。広い青空に広がる雲を眺めて過ごす。日本の雲と違い低く密度が濃い感じで、宗教画を見ている感じ。これならノンちゃんも乗ることができるかなと取り留め…

第三十四便 6月7日(木) 曇時々晴

Navarrenx - Aroue 18km 私に与えられた部屋は個室。 幾ばくかのドナティーボを置く。Navarrenx は「美しい村」の一つの城壁で囲まれた要塞都市。 城内にはこの地方独特の屋根の家々。端が上がっているのは理由は定かではないが魅力的。 久しぶりに会ったう…

第三十三便 6月6日(水) 曇一時は晴

Arthez de Bearn-Navarrenx 32km 朝食は経営者のブーランジェリーで。昨日までの雨はあがったが足元は最悪。昨日夕食の時隣り合った席に座ろうと気遣ってくれたアメリカ人と、会うと何時もサバを繰り返すフランス人と前後しながら歩く。無事山を越えた。 生…

第三十二便 6月5日(火)

Arzacq Arraziguet - Arthez de Bearn 30km 昨日の昼に雷を伴って降り出した雨が歩いている間降り続いた。 夕食はパスタサラダにポークと野菜(2種類のポテト/なす/唐辛子の親分?)の煮付け。デザートはチョコたっぷりのエクレアと梨のパイ。全て美味であった…

第三十一便 6月4日(月) 晴一時雨

Aire sur l' AdourーAmrzacq Arraziguet 32km 広大な畑の間を歩く単調な一日。 泥濘とのお付き合いは続く。舗装道路はその心配はないが膝に堪える。道路脇の草むらは靴が沈む込む。そこでその間の靴幅くらいの土部分を選んで歩く。長距離を歩くと膝に影響が…

第三十便 6月3日(日)晴

Nagaro - Site sur L'Adour 28km 昨日の宿の寝室が珍しかった。20ばかりのベッドが円形に配置されていた。 今日から4日連続で30km前後。後一週間となり、最後の一踏ん張りが要求される。暑さが少し応え出した。 昨日は予約していた宿がチェックミスで市街地…

第二十九便 6月2日(土)晴

Eauze-Nogaro 20km スペインでも日本でも「光と影」に興味を持った。フランスではスペインの様な強烈さはなく、日本の様なわびさび?も無い。昨日の教会で見た床に映ったステンドグラスの色と歩道上の頭上のランプの影。何でもないが面白いと思った。 今日は泥…

第二十六便 5月30日(水) 曇後晴

Lectoure〜La Romieu 19 km 昨日の教会の写真は間違い。正しくは 朝英国人が、お前は夜寝ている時にピピをするかと聞く。すると答えると自分は4〜5回すると言う。お互い加齢の影響に苦笑い。 今日も泥濘との戦い。時々会う男が今日はgood day と言って泥で汚…

第二十五便 5月29日(火) 曇

Auvillar〜Lectoure 32km 希望の宿がコンプレで本日は二回目の30km超え。後半はパシリのおじさんの女性と共に歩く。元気、元気。 夜の間に雨が降ったのか足元は粘土細工。おまけに水路の後や轍で凸凹状態。縦横無尽に滑りまくる。遂に二度転倒したが大事に至…

第二十四便 5月28日(月) 曇一時雨

Moissac 〜Auvillar 21km 早朝パンの香りを楽しみながら街を抜け、ガロンヌ運河沿いを歩く。ここでも2時間の間犬を連れた老人のみ。 昨日夕食事に言葉を交わしたオランダ人夫婦が追いついてきた。なんと二人漕ぎの自転車で走り 、すでに1,800km。 最近毎朝出…

第二十三便 5月27日(日) 曇一時雨

Lauzerte 〜Moissac 21km 長い間独り歩きが続いたが、久しぶりに他の人と前後して歩く。気が楽だ。 花火のような音が響く。雲を散らし雨を防ぐらしい。日本では雨を呼ぶが。雷や稲妻。 Moissacはサン・ピエール寺院のタンパン/中央柱の聖パウロと預言者エレ…

第二十二便 5月26日(土) 晴

Lascabane 〜Lauzerte 23km 宿で切り盛りしているのは、女性一人。朝ドラのアメリカ女優に立ち居振る舞いが似て、いつも笑顔です。 昨日のミサはキリストの故事に習って、神父が私の足を洗ってくれました。驚きです。しかし出席者は宿泊者の半分もいませんで…